訪問美容・出張美容には法律・条例で定められたルールが存在します。
これらを違反すると罰金や業務停止、営業停止などの罰則が適用されます。
場合によっては業務停止命令や免許剥奪などの重い処分を受けるケースもあります。
この記事では訪問美容・出張美容に関する法律・条例についてご紹介します!
訪問美容・出張美容に関する法律
まずは、法律で定められている範囲をご紹介します。
原則、理容室・美容室以外での施術は禁止
理容所・美容所以外での場所で施術を行うことは、理容師法・美容師法で原則禁止されています。
しかし、「特別な事情がある場合」は理容室・美容室以外での施術が認められています。
第六条の二 理容師は、理容所以外において、その業をしてはならない。但し、政令で定めるところにより、特別の事情がある場合には、理容所以外の場所においてその業を行うことができる。
理容師法:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000234 参照 2021-01-22
第七条 美容師は、美容所以外の場所において、美容の業をしてはならない。ただし、政令で定める特別の事情がある場合には、この限りでない。
美容師法:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=332AC1000000163 参照 2021-01-22
この「特別な事情がある場合」という部分が、訪問美容が法的に認められている部分になります。
訪問美容が例外的に認められる条件
特別な事情と認められる条件について理解を深めていきます。
理容師法・美容師法では以下のように定義されています。
疾病その他の理由により、理容所に来ることができない者に対して理容を行う場合
婚礼その他の儀式に参列する者に対してその儀式の直前に理容を行う場合
理容師法施行令:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=328CO0000000232 参照 2021-01-22
疾病その他の理由により、美容所に来ることができない者に対して美容を行う場合
婚礼その他の儀式に参列する者に対してその儀式の直前に美容を行う場合
美容師法施行令:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=332CO0000000277 参照 2021-01-22
また、近年では訪問理美容の対象範囲を広げる規制緩和も行われています。
疾病の状態にある場合のほか、骨折、認知症、障害、寝たきり等の要介護状態にある等の状態にある者であって、その状態の程度や生活環境に鑑み、社会通念上、理容所又は美容所に来ることが困難であると認められるもの
自宅等において、常時、家族である乳幼児の育児又は重度の要介護状態にある高齢者等の介護を行っている者であって、その他の家族の援助や行政等による育児又は介護サービスを利用することが困難であり、仮に、自宅等に育児又は介護を受けている家族を残して理容所又は美容所に行った場合には、当該家族の安全性を確保することが困難になると認められるもの
理容師法施行令第4条第1号及び美容師法施行令第4条第1号に基づく出張理容・出張美容の対象について:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000123997.pdf 参照 2021-01-22
要するに、
これまでは疾病・要介護などの状態にある本人のみが訪問理美容の対象範囲でした。
これからは介護している人や乳幼児の育児をしている人も対象範囲に含まれるようになりました。
ただし、下記のような条件が記載されているので注意しましょう。
- その他の家族の援助や行政等による育児又は介護サービスを利用することが困難
- 自宅等に育児又は介護を受けている家族を残して理容所又は美容所に行った場合には、当該家族の安全性を確保することが困難
法律違反時の罰則
現状では、違反しても刑事罰での罰則はありません。
しかし、法律で認められている範囲を超えて施術した場合、業務停止の罰則があります。最悪の場合、免許取り消しになるケースもあるので気をつけましょう。
(参考)理容師・美容師の懲戒処分及び公開の基準
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei27/
条例を理解する
法律以外にも理解しなければならないルールがあります。
それは、都道府県・市区町村ごとに制定されている条例です。
独自の訪問理美容のルールが、都道府県・市区町村で定められている場合があります。
法律にも、施術する地域に条例がある場合は、条例に合わせる旨が記載されています。
前二号のほか、都道府県(地域保健法(昭和二十二年法律第百一号)第五条第一項の規定に基づく政令で定める市(以下「保健所を設置する市」という。)又は特別区にあつては、市又は特別区)が条例で定める場合
理容師法施行令:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=328CO0000000232 参照 2021-01-22
前二号のほか、都道府県(地域保健法(昭和二十二年法律第百一号)第五条第一項の規定に基づく政令で定める市(以下「保健所を設置する市」という。)又は特別区にあつては、市又は特別区)が条例で定める場合
美容師法施行令:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=332CO0000000277 参照 2021-01-22
このことから活動するときには、法律だけでなく条例も意識する必要があります。
都道府県・市区町村ごとにルールが異なる
地域ごとに訪問美容が可能な対象範囲が少し異なります。
例えば東京都では以下のように別途ルールを設けています。
1.疾病その他の理由により、理容所・美容所に来ることができない者に対して理容・美容を行う場合(※)
出張理容・出張美容について:https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/smph/joho/soshiki/anzen/eisei/oshirase/syuttyo_ribi.html 参照 2021-01-22
2.婚礼その他の儀式に参列する者に対してその儀式の直前に理容・美容を行う場合
3.山間部等における理容所・美容所のない地域に居住する者に対して、その居住地で施術を行う場合
4.社会福祉施設等において、その入所者に対して施術を行う場合
5.演劇に出演する者等に対して、出演等の直前に施術を行う場合
そのため、活動予定の地域の役所のHPを必ず確認しましょう。あなたが活動する地域だからこそ出来ることがあるかもしれません。
条例について調べたいときは下記のワードでGoogleで検索しましょう。施術地域の条例が記載された役所のホームページを見つけることができます。
検索例
- 訪問理美容 条例 (任意の施術地域名)
- 出張理容 条例 (任意の施術地域)
- 出張美容 条例 (任意の施術地域)
地域をまたいで活動する場合は、それぞれの条例のルールに従っての対応が必要になります。
最後に・・・
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